出島野鳥園 (野鳥の会の活動)


野鳥園建設の経緯

 かつて那賀川町出島地区には、50haにも及ぶ海岸性のヨシ原があり、野鳥の楽園でした。ところが、バブル期にゴルフ場開発計画が持ち上がり、野鳥の楽園は壊滅することになりました。日本野鳥の会徳島県支部は、多くの自然を愛する人々の支援を受けて、出島の湿地を保全し自然観察公園をつくる運動を展開しました。その結果、ゴルフ場建設とともに、5haの野鳥園とそれに連続する4haのヨシ原、合計9haの野鳥生息地を残すことができ、学習舎と観察舎も建設され、1995年に那賀川出島野鳥園が完成しました。

野鳥園の運営

出島野鳥園

野鳥園は県の施設で、ゴルフ場を経営するコート・ベール徳島に管理を委託していますが、野鳥園のメイン施設である学習舎はいつもカギがかかっていて入れない状態です。
 一般の方が学習舎を利用しようとすれば、ゴルフ場のフロントへ行って、利用申し込みをし、カギを借りて、自分で開けなければなりません。双眼鏡、望遠鏡など観察用具類は備え付けられていません。せっかく造ってもらった野鳥園なのに、これではほとんど利用されず、あまりにももったいないので、日本野鳥の会徳島県支部が、ボランティアで、日曜日だけでも野鳥園を開け、一般の方にも利用してもらおうと言うことになりました。
原則として、毎日曜日の午前9時から午後3時まで、野鳥の会のメンバーが当番制で学習舎で来園者のお世話をしています。

メイン施設の学習舎には、双眼鏡や望遠鏡などの観察用具等を持ち込み、来園者に利用してもらっています。(自分で学習舎のカギを借りて利用する場合は、野鳥の会が持ち込んでいる観察用具は利用できません。)また、湿地は放っておくとガマやヨシが生い茂り、観察路も草で通れなくなり、樹木はツルに覆い尽くされてしまいます。そこで、年に何回か草取り作業をし、観察しやすい環境が保たれるよう努力しています。

野鳥園の施設

学習舎
 メインの施設で、この中からが一番よく観察できます。中には、観察用具を整備してあります。イスもありますので、ゆっくりと、野鳥を楽しんでください。ただし、飲食は禁止となっています。トイレは、この建物にあります。観察舎の大きな窓の前は、田んぼのような湿地と、池を作ってあります。池の周囲はヨシ原が広がっています。カモ類、サギ類、バンなどを、双眼鏡でアップで観察できます。窓から見えるところで、バンや カイツブリ、カルガモが巣をつくり、子育てを見せてくれることもあります。なお、この学習舎をはじめ、観察路、観察舎、トイレ、全て、車いすでも利用できるように作ってもらってありますので、お体のご不自由な方も安心して利用していただけます。

観察路と観察舎

学習舎から左右に観察路がのび、その終点に観察舎がひとつづつあります。観察舎の窓(横長のすき間)から静かにヨシ原を観察していると、野鳥が思わぬ間近に現れてくれることがあります。観察用具は備えてありません。

観察できる野鳥

何と言ってもここを代表する鳥は、チュウヒハイイロチュウヒで、両種ともほぼ毎年越冬します。オオタカハイタカハヤブサコミミズクも見られ、2000年1月にはトラフズクが5羽も観察されました。

サギ類は、アオサギ、ダイサギ、コサギが最も普通で、ヨシゴイが数つがい繁殖します。サンカノゴイはしばしば渡来します。

カモ類は、オカヨシガモ、マガモ、コガモ、ハシビロガモ、ヒドリガモの淡水ガモが主で、ここのあるじのようなカルガモは、夏にはヒナ連れがよく見られます。

シギ類は、余り多くなく、タシギ、ジシギ類、クサシギ、イソシギのほか、アオアシシギ、チュウシャクシギがたまに飛来します。

そのほかの水鳥では、バン、オオバン、カイツブリ、ヒクイナ、クイナ、カワウ、カワセミ
が見られ、バン、カイツブリはヒナ連れがよく観察できます。

小鳥類は、オオジュリン、ツリスガラ、セッカ、オオヨシキリ、カワラヒワ、メジロ、ヒバリ、ホオジロなど。

キジは、1つがいが繁殖しているようです。これらの野鳥をはじめとして、これまでに、野鳥園内で約200種の野鳥が記録されています。

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